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アイソレーションタンクと感覚遮断研究の歴史(8)

二人のガイドをどう解釈するかはともかく、このような意識の領域が存在することに興味を引かれて,リリーはそれをもっと研究してみようと考えました。そして、LSDを服用してアイソレーションタンク(フローティングタンク)の中に入ってみるという過激な実験を思いつき、それを実行に移すのです。LSDにもアイソレーションタンク(フローティングタンク)にも、人間の意識を日常性から解き放つ作用があります。それを両方重ねあわせたらどうなるか、やってみたいと思ったのです。リリーはもともと、自分の脳に何百本もの電極を刺してみようなどと考える人だから、発想が過激なのです。

リリーはその実験を1964年から2年間にわたって合計20回行いました。

この実験をしてすぐにわかったことは、実に簡単に自分が肉体を離れ、新しい空間に入ってゆくことができると言うことでした

。自分で行ってみたいと思うと、どのような空間にでも行くことができたのです。
結局「創造しうるありとあらゆるものは存在する」とリリーは考えました。宇宙は無限の多様性を持っており、それに同調する者にはそれが存在するようになる。人間はその無限の多様性に同調する能力を持っているということなのです。

1966年にアメリカ政府はLSDには精神を破壊する危険性があるということでLSDの使用を禁止しました。それによってリリーの研究も中断せざるをえなくなった。それ以後リリーは、瞑想やヨガのようなボディーワーク、催眠などを利用して、人間の意識状態を変化させることに興味を向けたり、あるいはLSD以外の幻覚剤を使用するなどして、自分自身を被験者とする人間の内的意識の研究にどんどん深入りしていった。彼は、それら一連の探求の果てに、古来、人間の最高の意識状態とされている「サトリ、サマディー、ニルヴァーナ」と同じ状態に達し、言葉では表現不可能な宇宙的広がりを持つ意識に到達することができるようになりました。

しかし、ではその意識が脳によって作り出されたものなのか、それとも、脳の外にある普遍的な宇宙意識につながることによってもたらされたものなのかという、そもそもの発端にあった疑問に関しては、ついに回答を見いだせぬまま終わっています。

『サイエンティスト』の終わりの方で、リリーはこう述べています。

「人間以外の〈存在〉など本当に存在するのだろうか。

ぼくの心とは単なる脳の演算能力にすぎないのだろうか。ぼくの中には、ぼくを超えて広がる何かが存在するのだろうか。ぼくの内的リアリティーは、何かが存在することをたびたび約束してきた。人間の形をしたこの肉体が死んだとき、ぼくを超えて存在しつづける何かが存在するのだろうか。『そのとおり、人間を超えた〈存在〉が存在する』というぼくの肯定的な答えは、地上的な存在を超えて生き残りたいというぼくの脳と身体の単なる願望の産物にすぎないのだろうか。

ぼくのすべてーー意識、自覚、思考、ai、他社との関係ーーは滅びるのか、それとも不滅なのか」(サイエンティスト)

リリー博士は、著書の大部分において、実はほとんど普遍的宇宙意識実在論のほうに与しているのだが、最後のところでは懐疑主義的不可知論に踏みとどまっているのである。そして、こう付け加えている。

「私自身の懐疑主義は変わっていないーーーどうかあなたがたも自分の懐疑を捨てないで欲しい。懐疑は未知の探求にあって欠くことのできない道具である」

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