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アイソレーションタンク(フローティングタンク)体験談-錯覚する脳(2)

続き

 リリー博士自身は、このタンクに入る事によって、宗教的悟りの境地のような、夢を見ているような、あるいはトランス状態のような、神秘的な体験をすることができたのだという。

また、かつては、物理学者のファインマンが『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(岩波書店・2000年)の中で、ジャーナリストの立花隆が『臨死体験』(文春文庫・2000年)の中で、やはりアイソレーションタンクに入った体験について述べている。

ファインマンは、タンクにしばらくはいっていると、自分の自己意識の中心が1センチだけずれたと述べている。さらに何度も入っているうちに、自己意識の場所をもっとずらせるようになり、最後には体の外に持っていけたのだという。(※ 「アイソレーションタンクと感覚遮断研究の歴史(6)」参照)

しかし、私は、自己意識がどこか特定の位置にあるわけではないように思うので、自己意識の場所がずれる、という感覚は理解できない。

立花隆も、アイソレーションタンクに入ったとき、肉体が消失して意識の点になったかのような体験をしたと述べている。自分以外の存在がすべて消えてしまい、残された自分は無限の広がりを持つ虚無の海を漂っているかのような、完全孤独の世界だったという。(※ 「アイソレーションタンクと感覚遮断研究の歴史(9)」参照)

これは体験してみたい。私は思った。調べたところ、アイソレーションタンクが白金にあるというので早速行ってみた。

当時のeccoの怪しい儀式などの様子が記載されている部分なので割愛します。あれはあれで面白かったんですけどね(笑)。

 ふたを閉めると中は完全な暗闇だ。浅い塩化マグネシウム(注※正しくは硫酸マグネシウムです)のプールの中に、静かに上向きに浮かぶ。ちょうど両手を広げると、両手が壁にぶつかるくらいの幅がある。長さは、もちろん頭も足先もぶつからないくらいの十分な長さだ。身体の力を抜いて浮かんでいると、はじめは水の上に完全に静止して浮くのが難しいためか、腕か頭か足が、どちらかの壁にぶつかってしまう。そんな時は、両手を広げて自分がタンクの中央に行くように手探りで調整し、そっと壁から手を離すと、当分の間、壁にはぶつからない。慣れてくると、体はほとんど壁にぶつからなくなる。

真っ暗なタンクの中に全裸で入り、塩化マグネシウム(注※正しくは硫酸マグネシウムです)の溶液の上に浮く、というと、なんだかあまりに非日常的なために、生きて帰してもらえるんだろうか、というような不安と恐怖をお感じになる方もおられるかもしれない。しかし、ご心配はまったく無用だ。快適、安心、安全、清潔。タンクのふたは、さほど重くはなく、鍵がかかるわけでもないので手で簡単に開けられる。思ったより平易な感じで、安全上の危険は全く感じない。逆に、特殊なところにいるという感じも特にしない。

~ 中略 ~

私は、ヨガの修行僧の瞑想状態に到達できるのではないかと期待して、五回体験した。しかし、結論から言うと、修行僧のような状態には全く至らなかった。もちろん、色々なことを考える機会になったので、有意義ではあったのだが。

個人差があるのだろうと思い、私の研究室の研究員や学生であるA君、B君、C君にも、一度ずつアイソレーションタンクを経験してもらった。悔しい事に、彼らの方が私よりもいろいろと興味深い体験をしたようだ。そこで、私の体験や考えを述べる前に、まずは三人のレポートをご覧いただきたい。

~続く~

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